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日本生まれ日本育ち。非帰国子女の私が外資系企業に就職しTOEIC900点をキープするためにしてきたこと。続けていること。英語に関わる色々なこと。

【AI関係者必見】海外ドラマ『ヒューマンズ』から考えるAIの脅威と可能性

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人型ロボットが当たり前に存在する社会とは

2017年10月から動画配信サービスHuluにて日本初上陸で配信を開始した海外ドラマ『ヒューマンズ』が話題を呼んでいます。

 

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2012年にスウェーデンで放送されたTVドラマ『Real Humans』が原作、イギリスでリメイクされた本作品では、我々の日常生活の中に、外見は人間にそっくりな人型ロボット"シンス"が当たり前のように存在しています。

"シンス"が接客や清掃、介護、農業といった仕事だけでなく、家庭の中で家事や育児までを担う、近未来の社会を舞台に繰り広げられるSFサスペンス/ヒューマン系海外ドラマです。

街の風景や家の中はいわゆるSFものに出てくるようなCGテクノロジーを使った近未来的な設定ではなく、現代のごく普通のリアルな社会が舞台となっています。

 

人工知能(AI)やロボットの技術革新は、今後ますます経済活動や雇用、 産業に大きな変革をもたらすと言われています。

この「第四次産業革命」(インダストリー 4.0)が実現したら一体どんな社会になるのか、人間と人型ロボットが共存する『ヒューマンズ』の世界は、その一つの可能性なのかもしれません。

 

何が人間にとって脅威になるのか?

仕事

作品の中で、街中では人型アンドロイドの"シンス"が交通整理やチラシ配布をしていたり、スーパーで買物をしていたり、農作業をしています。駅員や清掃スタッフ、電話口のオペレーター、車の運転手も"シンス"が行います。

 

「AIが人間の仕事を奪う」ことはもはや避けられない事実になりつつあります。

週刊ダイヤモンドが特集した「機械に奪われそうな仕事ランキング1〜50位」に掲載されている仕事の中で、販売員やコールセンター案内係、作業員、運転手などは、現在でも既に無人化が進められています。

単純作業や事務作業は今後ますますAIへ移行し、「安定」の代名詞とも言える公務員ですら雇用を失うと言われ始めています。

 

雇用は減るのか?増えるのか?

AIの開発・管理やAI関連サービス、AIを活用した新規産業など、AIの発展により生まれる雇用も多いため「雇用は減らない」という意見はあります。また、厚生労働省の「労働経済の分析」を取り上げた産経新聞の記事によると、加速する高齢化による労働人口の減少で、AI化社会においても雇用は逆に不足するという分析もあります。

白書によると、雇用の減少のうち、製造業で160万人減、農林水産業で70万人減、卸売・小売業で40万人減が見込まれるとされています。一方で、介護職員などサービス業では160万人の雇用が増加すると分析しています。

数字だけを見ると、確かにAIの進出が雇用を奪っていくとは言い切れないかもしれません。

 

しかし、例えば地方で家族代々農作業を営んできた人達が、AI社会で全員がAI関連の技術者になれるかと言うとそうではないでしょう。製造業でモノ作りを担ってきた寡黙な職人たちが、AI時代で介護スタッフとして活躍できるでしょうか。

例が極端ですが、「AIが雇用に与える影響」を考える時、雇用数の増減だけでなく、消える仕事と生まれる仕事の内訳を照らし合わせて議論する必要があるでしょう。

今の業界で今の職種でしか働くことができない人にとっては、AI社会で本当に仕事を失ってしまうかもしれないのです。

 

反発する集団

『ヒューマンズ』には、雇用を奪われた人達が集まる団体「We Are People(我々は人間だ)」が登場します。

彼らは「優占種は人間だ」「子供の未来の雇用を奪ってはならない」「人類を守るため戦争に勝つ」と過激な主張を掲げ、"シンス"に対して攻撃的な態度を取ります。

ここまでくるとSFドラマ感がありますが、実際に農林水産業や製造業の仕事がAIに取って代わる時代、発展するAI産業関係者と彼らの間に対立関係が生まれる可能性は十分に考えられます。

 

 

人間が守るべき領域とは?

人工知能(AI)やロボットが医療や交通、一次産業の分野で我々の社会をより便利に豊かにしてくれることは疑いようがないでしょう。しかし、その技術革新が巨大な影響力を持つからこそ、どこまでをAIに依存し、どこまで人間の手で行うべきなのかという議論は以前から活発に行われています。

『ヒューマンズ』では、人型アンドロイドが家庭に入り込むことで我々の日常生活に及ぼす影響が描かれています。

 

しつけ、教育、愛情

家庭用人型アンドロイド"シンス"のアニータを家に迎えるホーキンス一家。

夫のジョーと違い、妻であり3人の子どもの母であるローラは元々"シンス"の購入には否定的でした。アニータが来てからも、ローラは子どもたちに「何でも彼女に頼らないで。アニータは奴隷じゃないのよ」と、自分のことは自分でするようにしつけます。

ローラが心配するように、確かにロボットが何でもやってくれる環境で育つと、子どもは自分で何かをする経験をあまりしなくなるかもしれません。

それこそが人工知能(AI)やロボットの利点であり依存して何が悪い、という意見もあるでしょう。しかし、"子どもが責任のある社会人として自立できるよう育てる"という親の役目は、いつの時代も変わらない親の責任です。

 

人型ロボットがいる家庭の中で子どもをどう育てるかー

これは、AI社会では各家庭でしっかり話し合われるべきテーマの1つになるかもしれません。

 

気持ちに寄り添うコミュニケーション

作品の中で、愛する妻に先立たれた高齢者のジョージ・ミリカン博士が登場します。イギリス政府の施策でミリカン博士の家に介護用人型アンドロイドのベラがやってきますが、ベラは厳しい先生のように、マニュアルに沿った正しく健康的な生活をミリカン博士にしつこく強制しようとします。ミリカン博士は、そんなベラの接し方に反発し、「介護は必要ない」と介護自体を拒否し続けてしまいます。

 

 博士のように介護自体を拒否するケースだけでなく、「薬を飲みたくない」「着替えたくない」「お風呂に入りたくない」「食べたくない」など要介護者がサポートを拒否するケースは珍しくありません。

こうした時に介護者が行うべき対応は、その行為の必要性を説明したり行動を促すのではなく、「拒否したい気持ちの理由に寄り添うこと」であると専門家は言います(参考:あんしん介護のススメ)。

例えば、多いとされるのが入浴拒否です。

 

「足腰の衰えで入浴という作業がつらい」

「疲れてしまって今日は気力がない」

「お風呂の世話をさせることが申し訳ない」

「他の人に体を見られたくない」

 

「お風呂に入りたくない」という発言に隠れた理由は人それぞれです。その人の気持ちを汲み取り、寄り添い、かける言葉や接し方を柔軟に変えながら、サポートを受け入れてくれるような繊細なコミュニケーションが重要になります。

 

果たして、このようなサポートを介護ロボットはできるのでしょうか?

技術的には可能だとしても、我々はどこまで求めるべきなのでしょうか?

 

2016年3月~6月に矢野経済研究所が行った研究によると、2015年度の国内介護ロボット市場は10億7,600万円、前年度比549.0%と急速に成長しています。一方で、介護関係者を対象に実施されたアンケートで「介護は人間がやるべきだと思いますか?」という問いに「そう思う」と回答した人が51.4%と半数以上を占めている現状があります。我々が介護ロボットをどう活用していくか、このテーマは今後ますます議論が必要になるでしょう。

 

人型ロボットを愛するということ

映画『her/世界にひとつの彼女』など、人工知能(AI)との恋愛を描いた作品は既に多数存在していますが、本作でも人型ロボットとの愛情や恋愛感情に向き合う人々の様子が描かれています。

 

障害のある妻・ジルは、イケメンで体格の良い介護用人型アンドロイドのサイモンに恋愛感情を抱きます。『ヒューマンズ』に出てくる人型アンドロイド"シンス"は「成人モード」という大人用オプションを選択可能で、体の関係を持つことも可能です。ジルとサイモンの関係は、夫・ピートとの夫婦関係に大きな影響を及ぼします。

 

新しい介護用人型アンドロイドを迎える高齢者のジョージ・ミリカン博士の家には、旧型の人型アンドロイドのオディが昔から暮らしています。ミリカン博士は、今は亡き妻との思い出を共有し、昔話をすることができる旧型のオディを我が子のように愛情をもって大事にしています。しかし、ロボットとして故障寸前のオディは街中で問題を起こし、警察から処分するように指示されてしまいます。

 

 人が何かを愛する時、その対象は必ずしも人である必要はないでしょう。ペットや趣味の物、場所や体験を愛することで幸せに生きる人生もあります。

しかし、人型ロボットは人間ではありません。夫婦関係を破滅させたり、人間に危害を及ぼすために製造される商品でないことは間違いありません。

 

 『ヒューマンズ』の世界では、"シンス"は性の対象としても登場します。街中には「成人モード」の"シンス"が働くアダルト向けの店が存在し、美しくスタイル抜群の"シンス"は若い少年たちから性的興味の眼差しで見られます。

若者の恋愛離れや晩婚化が加速する現代、肌と肌のふれあいを人型アンドロイドに求めることが当たり前になってしまうと、我々の恋愛や結婚、子どもを持つことへの考え方にも影響が出てくるでしょう。

 

見た目は普通の人間と一緒である"シンス"。人間が人間を愛するように、人型アンドロイドを愛するというのは十分にありえる話です。

果たして線引きは必要なのか、我々はどのように向き合うべきか?

この議論は我々にとって最も難しいテーマなのかもしれません。

 

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"AIリテラシー"を考える

『ヒューマンズ』では、人型アンドロイドへの考え方が人や家庭によって異なり、シンスをめぐり意見がぶつかり合う様子が随所に描かれています。それぞれが、彼らの生活を支配しつつある人工知能(AI)に対する向き合い方を模索しています。

 

20世紀、インターネットの出現と普及により、人々は正しい情報も誤った情報も混沌と存在する情報化社会において、情報を「適切に読み取り、分析し、活用する能力」いわゆる"メディア・リテラシー"を求められるようになりました。

21世紀、今、Amazon echoGoogle Homeといったスマートスピーカー登場など、人工知能(AI)やロボットは技術者やビジネス関係者の間で話題になるものではなく、我々の日常生活に徐々に入り込む存在になりつつあります。 

我々は人工知能(AI)やロボットとどのように向き合い、活用していくべきなのか。

今では小学校で教えるほど当たり前になった"メディア・リテラシー"と同じように、我々一人一人が"AIリテラシー"を考えなければならない時代がそこまで来ているのかもしれません。

 

実は過去にも何度かあったとされる"AIブーム"。

今回が本物になるのか、一時的なホットワードとして過ぎ去るのかはさて置き、そう遠くない未来にやってくるであろうAI社会に向けて、『ヒューマンズ』は我々一人一人が何を考えておく必要があるのかを教えてくれます。

 

アメリカで既にシーズン2が放送終了、シーズン3も期待されている本作品。

海外ドラマはあまり観ないという方も、まずは是非Huluでシーズン1を視聴してみてください。

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